小児科プログラム

研修施設:武蔵村山病院

  1. 研修プログラムの概要

    小児科の研修は必修科目としての2カ月のコースである。小児科医としての専門教育を目指したものでなく、プライマリ・ケアとしての小児の基本的な疾患の診療能力を身につけることを目的とする。


    具体的にわかりやすく言えば、次のようなことである。

    1. 一般外科、脳神経外科、整形外科、耳鼻咽喉科、眼科、……などの診療において小児の患者に適切に対応できるようになること。
    2. 全科当直で、上気道感染症、嘔吐下痢症、熱性痙攣などのありふれた小児疾患に対して、小児科医を呼ばずに適切な診療ができるようになること。
  2. 研修目標

    1. 一般目標
      1. 不安なく各年令の小児にアプローチできる。
      2. 各年令の正常児を知る。
      3. 基本的な子どもの診かたを習得する。
      4. 小児の基本的な疾患を診断し、治療方針をたてることができる。
    2. 個別目標・具体的目標

      特に小児の疾病構造には季節性があり、必ずしもすべての疾患をみることができるわけではない。外来と入院とで一定数以上の患者をみることを目的とする。

      1. 入院患者の受け持ち: 5例以上
      2. 小児救急患者の診療: 5例以上
      3. カンファレンスなどでのプレゼンテーション: 5例以上
      4. 小児の採血: 5例以上
      5. 小児の輸液ルートの確保: 5例以上
      6. 上気道感染症: 5例以上
      7. 下気道感染症: 5例以上
      8. 気管支喘息: 5例以上
      9. 嘔吐下痢症・脱水症: 5例以上
      10. 発疹性疾患: 2例以上
      11. 痙攣性疾患: 2例以上
      12. 腎尿路疾患: 2例以上
      1. 診療能力
        1. 小児の発育発達の基本(身長・体重・頭囲・精神運動発達など)を理解する。
        2. 小児の系統的な診察ができる。
        3. 病歴を適切に記載することができる。
        4. 指導医を中心にチームの一員として診療にあたることができる。
        5. カンファレンス・回診などで、適切なプレゼンテーションを行い、討議ができる。
        6. 関連する科に適切にコンサルテーションができる。
        7. 疾患の重症度を判断できる。
        8. 小児の患者について適切な医療面接(小児および保護者との面接・病歴の聴取・疾患および検査結果の説明)ができる。
      2. 疾患の診断および治療
        1. 小児の薬用量、薬の使い方について基本的な知識を身に付ける。
        2. 小児の発熱の原因を鑑別することができる。
        3. かぜ症候群、咽頭炎、扁桃炎などの上気道感染症の診断ができ、治療方針がたてられる。
        4. 気管支炎・肺炎などの下気道感染症の診断ができ、治療方針がたてられる。
        5. 気管支喘息の診断・重症度の判断ができ、治療方針がたてられる。
        6. 嘔吐下痢症および脱水症の診断ができ、食事療法・輸液療法などの治療方針がたてられる。
        7. 小児の発疹性疾患(麻疹・風疹・水痘・いわゆる夏風邪・溶連菌感染症など)の予防および診断ができ、治療方針がたてられる。
        8. 痙攣の救急処置ができ、原因を診断し、適切な治療方針がたてられる。
        9. 尿路感染症の診断ができ、治療方針がたてられる。
  3. 研修方略

    1. 研修体制

      小児科病棟の受け持ち体制は指導医が主冶医となりその下に担当医がいる。通常は主治医、担当医、研修医の1本のラインである。主治医、担当医ともにsubspecialtyをもっているので、研修医が複数の場合には主治医、担当医各々に直接研修医を付ける。病棟での受け持ち患者が各専門に偏らないように指導医が配慮する。

    2. 研修スケジュール
      午前 午後 夕方
      病棟 外来(一般)
      病棟 外来(一般)
      病棟 乳児健診
      病棟 予防接種
      病棟 外来(アレルギー/腎・尿路)
      病棟 外来(一般)
      • 小児科外来における研修
        1. 小児科外来は午前中一般外来、午後は特殊外来を行っている。一般外来では入院に至らないcommon diseaseの研修ができる。午後の特殊外来では慢性疾患を持った子どもの、発育発達を視野に入れた生活指導を研修することができる。しかし外来研修中も基本的には病棟のグループに所属し、指導医と会い、入院している子ども達を毎日診察するように心がけて欲しい。
        2. 研修医も参加したカンファレンスを毎週月曜日の13時から開催する。個々のケースカンファレンスもしくは全体のまとめのカンファレンスである。症例の選択テーマの選択は指導医が行う。
        3. 研修期間中、指導医の当直に合わせ当直する。
        4. 研修期間中に、当院乳児健診または保健所・保健センターの乳児健診を経験する。
      • 小児科病棟における研修
        1. 指導医のグループの一員として研修を行う。指導医から子どもの基本的な見方、診察の仕方、診療手技、子どもと親への接し方などを研修する。
        2. 月曜日午前の回診後に入院患児について指導医と担当医の討議に参加する。
        3. 退院した受け持ちの患児について退院サマリーをまとめ、指導医に提出する。
      • 病棟ルーチンワーク
        1. 指導医、担当医のグループの一員として新入院患児の病歴をとり、診察し、カルテに記載する。
        2. 指導医、担当医のグループの一員として毎日入院患児を診察し、所見などをカルテに記載する。また、治療方針を検討し、指示を出し、実施する。ただし、病状の説明などは必ず指導医と行い、単独で行ってはならない。
        3. カルテの記載法は小児科の決まりがある。それにのっとり適切に記載する。
      • 救急外来・時間外診療
        1. 指導医が当直の時に指導医とともに当直する。
        2. 疾患の重症度の判断と、見逃してはいけない疾患の鑑別を主に修得する。
        3. 指導医の指示に従い、病歴、診察、検査、カルテ記載を行う。単独で診療および投薬をしてはならない。
      • 一般外来・専門外来・乳幼児健診
        1. 指導医の一般外来に陪席し、疾患の重症度の判断、common diseaseを研修する。
        2. 初診医(指導医)につき、病歴をとり、指導医と共に診察する。
        3. 専門外来に陪席し、慢性疾患を介して子どもの将来を考えた診療態度を研修する。
        4. 乳児健診に陪席し、発育発達について学ぶと共に、指導医からその評価方法を研修する。
  4. 研修成果の評価

    1. 評価方法
      1. 研修の評価は、研修期間を通じて、研修指導医が観察法によって行い、そのデータと研修医自身の自己評価とに基づいて指導医が最終的な判断を行う。
      2. 評価表1を用い、研修終了の数日前に、研修医と指導者がそれぞれチェックをする。評価基準については以下の通りである。
        行動目標:(それぞれの項目について)
         80%程度以上達成できた ・・・・・・・・○
         60%以上80%未満の達成率 ・・・・・・・・△
         60%未満の達成率 ・・・・・・・・×
        経験目標:(それぞれの項目について)
         80%程度以上達成できた ・・・・・・・・○
         80%達成できなかった ・・・・・・・・×

        評価表1はこちら

      3. 指導医は評価表1の結果に基づき、研修医の行動目標および経験目標の達成度を評価する。
        また、研修参加状況、研修の態度についても評価する。その上で、指導医として総合評価を行う。総合評価は研修目標を
        • ほぼ達成できた
        • あと一歩
        • 達成できなかった
        の3段階で行う。
      4. 指導医が、研修終了を認めるか、認めないかの最終的な評価を行う。
      5. 研修医は評価表に基づき自己評価するとともに、小児科の研修についての評価を行う(評価表2)。この結果は、直接院長に報告される。

        評価表2はこちら

    2. 評価の時期

      研修修了時に行う。

初期臨床研修

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