心臓血管外科プログラム

研修施設:東大和病院

  1. 研修プログラムの概要

    当科では外科の専門分野である心臓血管外科(循環器外科)を対象とし、その臨床を行っている。当科での研修は症例を通し、また診療現場のスタッフを通して臨床医としての修練を行うことになる。当科研修中には、医師として必要な基本的診療技能はもちろんのこと、実際に心血管疾患の急性期治療を経験することにより、循環・呼吸管理に関する深い知識と技能を習得する。選択期間中に1カ月単位で研修可能である。研修内容の詳細は、それまでの外科領域の研修期間、個々の研修医の技能の習熟度、および本選択研修の研修期間に応じて決定する。

  2. 研修目標

    1. 一般目標

      以下の基本的臨床能力の修得を目標とする。

      • 医師にふさわしい責任感・倫理観を身につける。
      • 患者の立場・気持ちを深く理解し、思いやることができる。
      • 頻度の高い疾患・病態に関する適切な知識を有しそれを個々の患者に応用できる。
      • 患者の病状をよく把握し、適切な検査・治療を計画できる。
      • 検査・治療の説明を適切に行い、同意を得ることができる。
      • 医療スタッフとコミュニケーションをよく取り、よい人間関係を築く。
      • ルールを遵守し安全な医療を実践する。
      • 適切な基本的診察・検査・治療技能を身につける。
    2. 個別目標・具体的目標
      1.  
        1. 職業倫理
          1. 社会人として良識ある行動をする。
          2. 患者の権利・尊厳を尊重し、適切な医療を行う。
          3. 常に自己を振り返りながら研鑽に努める。
        2. 患者―医師関係
          1. 患者、家族と良好な関係を築くことができる。
          2. 患者、家族のニーズを身体的・心理的・社会的側面から把握できる。
          3. 患者のプライバシーに配慮し、守秘義務を果たす。
        3. 安全管理
          1. 常に安全な医療を心がける。
          2. 医療安全に関するルールを理解し、遵守する。
          3. 個々の場面において自分のできることとできないことを判断し、適切な行動をとることができる。
        4. チーム医療
          1. 診療チームのメンバーと良好な関係を築く。
          2. 診療チームにおける自己の責任を認識し、それを果たす。
          3. チームのメンバーや、他施設の人と適切に情報交換を行う。
        5. 医学知識
          1. 心臓血管外科学領域の基礎的疾患の病態、診断、治療の知識を習得する。
          2. 心臓血管疾患の手術適応についての知識を習得する。
          3. 心臓血管外科手術術式、器具、材料、補助手段法について理解する。
          4. 心臓血管外科術後管理、特に循環呼吸管理に習熟する。
          5. 心臓血管外科の専門的技術を理解する。
        6. 診療技能
          1. 基本的な診療技能(医療面接・身体診察・検査手技・治療手技)を身につける。
          2. 心臓血管外科の初歩的技能を修練する。
        7. 医療の社会性
          1. 保健医療法規・制度を理解し、遵守する。
          2. 医療保険、公費負担医療を理解し、コスト意識を持って適切に診療する。
      2.  
        1. 臨床検査 → 循環器科の内容を参照
        2. 基本手技 → 循環器科の内容も参照
          1. 気道確保
          2. 人工呼吸管理(設定、条件変更、離脱)
          3. 心マッサージ
          4. 圧迫止血法
          5. 注射法(中心静脈確保・管理)
          6. 穿刺法(胸腔)
          7. ドレーン・チューブ類の管理
          8. 胃管の挿入と管理
          9. 局所麻酔法
          10. 創部消毒とガーゼ交換
          11. 皮膚縫合法
          12. 気管内挿管
          13. 除細動
          14. 動脈カテーテル挿入法(圧測定、採血用)
          15. 腎機能管理(利尿薬使用法、CHDF・HDの適応と管理)
          16. 抗凝固療法管理(DVT治療法も含む)
        3. 疾患および病態
          1. 心不全
          2. 狭心症、心筋梗塞、心筋梗塞合併症
          3. 不整脈(主要な頻脈性、徐脈性不整脈)
          4. 弁膜症(僧帽弁膜症、大動脈弁膜症、三尖弁膜症)
          5. 感染性心内膜炎
          6. 大動脈疾患(大動脈解離、大動脈瘤)
          7. 末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)
          8. 肺循環障害(肺塞栓・肺梗塞)
          9. 静脈・リンパ管疾患(深部静脈血栓症、下肢静脈瘤、リンパ浮腫)
          10. 腎不全(急性・慢性腎不全、透析)
        4. 経験できる可能性のある手術
          1. ペースメーカ植え込み術、電池交換術(術者または第1助手)
          2. 気管切開術(術者または第1助手)
          3. Major手術の第1・2・3助手として、鉤引き、血液吸引、糸切等
          4. Minor手術の第1助手として、摂子・鉗子の使用、糸結び、電気メス使用、ドレーン留置等
          5. Minor手術の術者
          6. 皮膚切開法、各臓器へのアプローチ法
          7. 胸骨正中切開法、開胸法
          8. 外科的止血法(結紮、縫合、電気メス凝固、圧迫、骨蝋、フィブリン糊等)
          9. 人工心肺操作およびカニュレーション法

        代表的なMajor手術

        1. 虚血性心疾患(冠動脈バイパス術、心筋梗塞合併症に対する手術)
        2. 心臓弁膜症(弁置換術、弁形成術)
        3. 大動脈疾患(胸部大動脈や腹部大動脈に対する人工血管置換術、ステントグラフト内挿術)

        代表的なMinor手術

        1. 末梢動脈疾患(血栓除去術、血行再建術)
        2. 透析シャント増設術
  3. 研修方略

    1. 研修体制

      当科は心臓血管センターの外科部門として機能しており、毎日回診やカンファレンスも循環器科と合同で行っている。

    2. 研修スケジュール(回診およびカンファレンスを除く)
      午前 午後
      病棟業務・検査 病棟業務・検査
      手術 手術
      病棟業務・検査 病棟業務・検査
      手術 手術
      病棟業務・検査 病棟業務・検査
      病棟業務・検査 病棟業務・検査、手術症例カンファレンス
  4. 研修成果の評価

    1. 評価方法

      研修成果の評価は、研修指導医が研修指導表に基づき細目を判定し、研修指導責任者が最終評価を行う。

    2. 評価の時期

      研修修了後。

初期臨床研修

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