消化器外科プログラム

プログラムの紹介

東大和病院

  • 研修期間:必修 4週間
         選択診療科 4〜48週間
  • 研修責任者:木庭雄至(消化器外科 科長)
  • 指導医・上級医:大村孝志、室谷研、河本健

1年次の基礎的研修の上に、専門医を目指す場合の基盤を形成することを目標としている。

※2回目の選択研修では、虫垂切除術(開腹・腹腔鏡)・前方アプローチによる鼠径ヘルニア手術・CVポート留置術・開閉腹等に関して、手術執刀も含め担当医として患者管理に積極的にかかわることを目標としている。

  1. 研修プログラムの概要

    消化器センターとして内科と一緒のチームを組み診療に当たっており、消化器疾患の効率的な研修が行える。一般的な消化器疾患の病態を理解し治療法を修得する。消化器良性疾患、悪性腫瘍の手術適応、手術術式、術後管理の基礎を学ぶ。また、化学療法、放射線治療、緩和医療の基礎を学び、集学的治療を研修する。また、各種内視鏡検査(GFS・CFS・ERCPなど)、内視鏡治療やIVRの基礎知識を身につけ、技術を修得する。他科との連携が緊密であり専門知識が必要な際はJUST TIMEでアドバイスを得ることができ、広い範囲にわたり深い知識を得ることが可能である。

  2. 研修目標

    1. 一般目標
      1. 診断にいたるプロセスを身につけるために、患者毎の問診の仕方、効率の良い身体所見の診察法、症例に応じた検査計画をたてる能力を習得する。
      2. 診断を確定し、治療方針を決定するために消化器診療に必須な以下の検査法を計画、見学、実施し、可能なものはその技術を修得する。

        血液検査一般、生化学検査、腫瘍マーカー、胸部・腹部単純レントゲン、内視鏡(上部、下部消化管)、腹部超音波、胸部・腹部CT、胸部・腹部MRI、腹部血管造影、生検組織検査

      3. 一般、消化器外科の対象疾患について、手術適応や技術を習得するために、手術に助手として参加し、技術を研鑽する。
      4. 問題点を包括し、総合的に診療の方針を計画立案し、自己評価と考察を行うことが出来るようにするために、病歴要約の作成を学び、学会への症例報告、発表を行う。
      5. 専門外の領域の最新情報や医学のトピックスなどの知識の修得を持続する習慣を身につけるために、院内院外の研究会や学会などに参加、また、参加する方法を習得する。
      6. 院内でのコミュニケーションを図る能力を身につけるために、院内の講習会および研究会に積極的に参加し、メディカルスタッフとの交流をする習慣を身につける。
    2. 個別目標・具体的目標
      1. 診断を行い、治療選択し、治療の実践によって、病態の改善を行うためには、患者や医療スタッフとのコミュニケーションがとれて、診療を円滑に行うことができる必要がある。そのためには、相手に不快な印象を与えない身だしなみをし、正しい丁寧な言葉遣いを行い、患者様の人格を尊重し、メディカルスタッフのそれぞれの業務を理解するなど、人間の尊厳を尊重する考え方を身につける。
      2. 臨床の現場は、TPOにより同じ疾患でも全て同じ対応で良いわけではない。おかれた状況、環境により、最善の診察を行なわなければならない。対応する患者様が常に一人の状況は、現実にはあり得ない。そのため、同時に複数名の診療が必要な場合も、常に最低限の診療を行える能力を身につける習慣を獲得する。
      3. 診断の過程では、非侵襲的検査を行った上で、診断の確定や治療方針の決定のために不十分の場合、侵襲的検査を計画する手順を身につけ、それぞれの検査の感度 特異度をふまえた結果の評価を行い、次に行うべき検査を実施するか、経過観察するかを判断する能力を身につける。
      4. 医師が行う侵襲的検査の適応、方法を学習し、指導医の下で検査の実践が出来るように努力する。
      5. 消化器診療の中心的位置を占める消化器癌について、病態、治療の基礎を学ぶとともに、手術適応を理解する。また、癌終末期の病態を理解し、緩和ケアを習得する。
      6. 常に新しい知識、技術の獲得を努力するためには、学会、研究会、講習、セミナー等に出席し、また組織の一員として、その組織に必要とされる会議に出席し、常に学習する努力を怠らない習慣を身につけるとともに、組織の中で自分の役割を常に確認する習慣を身につけるようにする。

      経験すべき病態、手技、手術について具体的な内容を以下に示す。
      各項目にあげた、A、Bは以下の内容を意味する。
      A:必ず経験すべきもので、十分に理解、把握すべきもの
       B:経験することが望ましく、助手として参加すべきもの

      • 症状、病態:

        A:悪心・嘔吐、おくび・げっぷ、嚥下困難、むねやけ、腹痛、急性腹症、体重減少、体重増加、全身倦怠感、食欲(思)不振、便通異常、浮腫、不眠、腹部膨満、吐血、下血、下痢、便秘、鼓腸、黄疸、腹水、腹部腫瘤

      • 治療、手技、手術:

        A:中心静脈穿刺、胸腔穿刺、胸腔ドレナージ、腹腔穿刺、腹腔ドレナージ
        B:虫垂切除術、胆嚢摘除術、幽門側胃切除術、結腸切除術

      • 疾患:

        A:消化性潰瘍穿孔、イレウス、胃上皮性腫瘍(良性腫瘍、癌)、大腸上皮性腫瘍(良性腫瘍、癌)、急性虫垂炎、大腸穿孔、腸捻転、原発性肝癌、転移性肝癌、胆石症、胆嚢炎、胆管炎、胆嚢癌、胆管癌、急性膵炎、慢性膵炎、膵膿胞、膵癌、鼠径ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニア、内痔核、裂肛

  3. 研修方略

    1. 研修体制

      担当指導医の下で、上記内容を研修する。

    2. 研修スケジュール
        午前 午後  
      病棟回診、手術 検査、手術 朝 症例カンファレンス
      病棟回診、手術 検査、手術  
      病棟回診、手術 検査、手術  
      病棟回診、手術 検査、手術  
      病棟回診、手術 検査、手術 朝 問題症例カンファレンス
      病棟回診、手術 検査、手術 昼 術前カンファレンス
  4. 研修成果の評価

    1. 評価方法
      • 実地試験
        受け持ち症例について、症例カンファレンス、術前カンファレンスでプレゼンテーションする。その都度指導医/上級医全員より評価する。手技に関する実技は、その都度指導医より評価する。
      • レポート
        症状および症例に関するレポートを作成し、指導医より指導を受ける。
    2. 評価の時期

      手技の実施による試験は、指導医が単独での実施が可能な技量かどうかを適宜評価し、実地の中で判断する。受け持ち症例のプレゼンテーションは、カンファレンスの中でその都度実施する。レポートによる評価は、その都度指導医より評価し、完成まで指導を受ける。症状によるレポートは経験した日に完成させ、その週の中で指導医より指導を受け、症例のレポートは、研修終了の2週前までに指導医の指導を受けるようにする。
      研修終了週には評価表による総括評価を行う

武蔵村山病院

  • 研修期間:選択診療科 4週間~12週間
  • 研修責任者:渋谷慈郎(副院長)
  • 指導医・上級医:髙橋毅、渋谷慈郎、久保幸祐、岸本一郎、古賀幹教

1年次の基礎的研修の上に、専門医を目指す場合の基盤を形成することを目標としている。

  1. 研修プログラムの概要

    消化器科として外科と一緒のチームを組み診療に当たっており、消化器疾患の効率的な研修が行える。一般的な消化器疾患の病態を理解し治療法を修得する。各種内視鏡検査(GF・CF・ERCPなど)、内視鏡治療やIVRの基礎知識を身につけ、技術を修得する。また、緊急内視鏡症例(特に止血術)も多く、技術と判断力を磨く事ができる。劇症肝炎や重症膵炎などICU管理を必要とするような疾患において、全身管理や血液浄化の技術を学ぶ。他科との連携が緊密であり専門知識が必要な際はJUST TIMEでアドバイスを得ることができ、広い範囲にわたり深い知識を得ることが可能である。

  2. 研修目標

    1. 一般目標
      診断・検査法
      腹部診察を習得する
      直腸診を習得する
      負荷試験(ICG、PFDテストなど)を実施し、結果を読解する
      造影レントゲン検査(上部、下部消化管、胆道、膵)を実施し、結果を読解する
      腹部超音波検査(術中超音波を含む)を実施し、結果を読解する
      カラードプラ検査を実施し、結果を読解する
      消化管内視鏡検査を実施し、結果を読解する
      ERCPを実施し、結果を読解する*
      CT、CTAP、CTAを指示、実施し、結果を読解する*
      MRI、MRCPを指示、実施し、結果を読解する*
      血管造影検査を指示、実施、結果を読解する*
      肝生検を実施し、結果を読解する
      治療手技
      消化管出血に対する止血術を施行する
      PTCD(PTGBD)、ENBD、ERBD、ESTを施行する*
      肝腫瘍に対する局所温熱療法(RFA、MCT、PEIT)を施行する*
      胸腔穿刺、胸腔ドレナージを施行する
      腹腔穿刺、腹腔ドレナージを施行する

      *:指導医のもとで助手として参加する。


    2. 個別目標・具体的目標
      1. 経験可能な項目(一般内科)
        1. 基本的態度・姿勢(その理解と実践)
          1. 医師患者関係
            • 患者と家族の精神的・身体的苦痛の配慮
            • 患者とわかりやすい言葉を用いた会話
            • 患者の心理・社会的背景を考慮して、患者の抱える問題点の理解
            • 医療行為が、医師・患者の契約的な信頼関係に基づいていることの理解
            • 患者の要望に対する適切な対応の指導
            • カウンセリングの重要性の概説
          2. 診断の思考過程の理解と実践

            思考過程を説明できる

            • パターン認識: 患者を一暼して、直ちに疾患名を思い浮かべるような場合
            • 多分岐法: 症候や検査所見の有無を一つ一つ確認して、最後にそれらの所見の組合せを満たす疾患名を当てはめる方法
            • 仮説-演繹法: 症候に基づいて可能性のある疾患名-仮説-を複数思い浮かべ、新たな情報が得られる度に仮説を入れ換えたり、確信度を変える方法(最も一般的な思考方法で効率的である)
            • 徹底的検討法: 教科書を参照して、まず考え得る疾患をすべて列挙し、当該の患者に当てはまるかどうか、一つ一つの疾患について検討してゆく方法
        2. インタビューについての理解と実践
          1. 質問の種類には閉じた質問と開いた質問などがあることを理解し、適切な使い分けが可能
          2. 非言語的コミュニケーションの効用
          3. 治療的効果:医師の態度や言葉による治療的効果
        3. 診察
          1. 視診、触診、打診、聴診
          2. 直腸指診
        4. 検査
          1. 一般的検査手技(自分で実施できるもの)
            • 静脈採血
            • 血算・緊急生化学検査(緊急自動測定装置による)、血糖迅速半定量法検査
            • 血液培養(動静脈採血)
            • 経皮的酸素濃度測定、血液ガス分析
            • 血液型・クロスマッチ
            • 一般検尿(試験紙法)
            • 便潜血検査
            • 心電図
            • 腰椎穿刺
            • 骨髄穿刺
            • 胸腔・腹腔穿刺
            • ツベルクリン反応
            • 胸部・腹部単純X線撮影
          2. 検査の考え方
            • 感度(sensitivity)と特異度(specificity)
        5. 臨床倫理
          1. 危害忌避(non-malfeasance)
          2. 説明と同意(informed consent)
            • 定義と必要性の説明
            • 情報の整理とわかりやすい表現
            • 適切な時期、場所、機会についての配慮
            • 患者の心理、理解度への配慮
            • 患者の質問や拒否的反応への柔軟な対応
          3. 契約的信認関係(fiduciary trust)
          4. QOL(quality of life)
        6. 複数の臓器が原因となりうる頻度の高い症状についての病態生理と鑑別診断
          腹痛、急性腹症、頭痛、めまい、胸痛、発熱、不明熱、体重減少、体重増加、意識障害、失神、腰痛、全身倦怠感、食欲(思)不振、リンパ節腫脹、呼吸困難、咳・痰、歩行困難、便通異常、四肢のしびれ、悪心・嘔吐、浮腫、不眠
        7. 治療
          1. 一般的治療:薬物治療、輸液、輸血、中心静脈栄養、経腸栄養(特に抗生剤の適正な使用や、病状にあった輸液処方など)
          2. 他科での治療適応の判断(手術や放射線など)
          3. ターミナル・ケア
            • がんの告知
            • 緩和治療に移るタイミング
            • 精神症状のコントロールとケア
            • 家族へのケア
        8. 診療関係書類
          1. 診療記録
            • POS、POMRで記載できる
            • 診療記録の法的意義について説明できる
          2. 診断書
            • 診断書、死亡診断書、死体検案書の記入ができる
      2. 経験可能な項目(消化器)
        1. 知識
          1. 消化管、肝、胆、膵、腹膜の解剖と機能
          2. 病態生理
            • 消化吸収障害
            • ヘリコバクターピロリ感染
            • 黄疸
            • 腹水
            • 肝不全
            • 門脈圧亢進症
          3. 主要症候 :食欲不振、悪心と嘔吐、おくび・げっぷ、嚥下困難、むねやけ、腹痛、腹部膨満、吐血と下血、下痢と便秘、鼓腸、黄疸、腹水、腹部腫瘤
        2. 診察
          1. 全身所見(皮膚所見、貧血、黄疸)
          2. 腹部の診察(視診、聴診、触診、打診、圧痛点)
          3. はばたき振戦
          4. 直腸指診
        3. 専門的検査
          1. 肝機能検査
            • 一般肝機能検査
            • 血中アンモニア、血漿遊離アミノ酸、BCAA/AAA比、血清胆汁酸
            • プロトロンビン時間、ヘパプラスチンテスト
            • 維化マーカー(P III P、IV型コラーゲン、ヒアルロン酸)
          2. 肝炎ウイルスマーカー:A型、B型、C型
          3. 膵酵素:血清・尿アミラーゼ、アミラーゼアイソザイム、血清エラスターゼ-1、血清リパーゼ、トリプシン
          4. 免疫学的検査:抗ミトコンドリア抗体、抗ミトコンドリアM2抗体、抗核抗体、抗平滑筋抗体
          5. 腫瘍マーカー:CEA、AFP、PIVKA-II、CA17-9
          6. CT
          7. 磁気共鳴画像(MRI、MRCP)
        4. 治療
          1. 基本的治療手技
            • 胃洗浄
            • 胃チューブ
            • 浣腸、高圧浣腸
            • 腹腔穿刺と排液
            • 高カロリー輸液
            • 経管栄養
          2. 薬物療法
            • 消化管:口腔用薬、消化性潰瘍薬、健胃消化薬、緩下薬・浣腸、止痢薬、整腸薬、鎮痙・鎮痛薬
            • 肝臓:肝作用薬(UDCA、グリチルリチン製剤)
            • ラクツロース、特殊アミノ酸製剤
            • 胆道、膵:利胆薬、胆石溶解薬、蛋白分解酵素阻害薬
        5. 症例
          1. 消化管
            • 食道疾患
                逆流性食道炎
                食道潰瘍
                食道癌(dysplasia を含む)
                食道裂孔ヘルニア
                食道静脈瘤
            • 胃・十二指腸疾患
                急性・慢性胃炎
                胃・十二指腸潰瘍
                胃癌
                胃良性腫瘍(ポリープ、粘膜下腫瘍など)
                胃切除後症候群
            • 腸疾患
                腸炎(腸管感染症、細菌性食中毒を含む)
                虫垂炎
                Crohn病、潰瘍性大腸炎
                腸結核
                薬物起因性腸炎
                大腸ポリープ
                大腸癌
                イレウス
                過敏性腸症候群
                虚血性腸炎
                肛門疾患(痔核、痔瘻、裂肛)
          2. 肝、胆道
            • 肝疾患
                急性肝炎・慢性肝炎
                肝硬変
                薬剤性肝障害
                アルコール性肝障害
                脂肪肝
                肝膿瘍
                肝嚢胞
                肝癌
                肝外門脈閉塞症
            • 胆道疾患
                胆石症、胆嚢炎・胆管炎
                胆道腫瘍(十二指腸乳頭部腫瘍を含む)
          3. 膵疾患
              急性膵炎・慢性膵炎(膵石症)
              膵嚢胞
              膵癌
          4. 腹腔・腹壁疾患
              急性腹膜炎
              癌性腹膜炎
  3. 研修方略

    1. 研修体制

      担当指導医の下で、上記内容を研修する。

    2. 研修スケジュール
        午前 午後  
      病棟回診 検査/手術 問題症例カンファレンス
      外来研修/手術 病棟回診/手術 病棟カンファレンス
      病棟回診 検査/手術 病棟カンファレンス
      検査/外来研修/手術 病棟回診/手術 病棟カンファレンス
      病棟回診/手術 検査/手術 病棟カンファレンス
      外来研修/手術 症例検討会/手術 術前カンファレンス
  4. 研修成果の評価

    当院研修プログラム評価法により、研修修了時に評価する。

初期臨床研修

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