消化器内科プログラム

研修施設:東大和病院

  1. 研修プログラムの概要

    消化器科センターとして外科と一緒のチームを組み診療に当たっており、消化器疾患の効率的な研修が行える。一般的な消化器疾患の病態を理解し治療法を修得する。各種内視鏡検査(GS・CS・ERCPなど)、内視鏡治療やIVRの基礎知識を身につけ、技術を修得する。また、緊急内視鏡症例(特に止血術)も多く、技術と判断力を磨く事ができる。劇症肝炎や重症膵炎などICU管理を必要とするような疾患において、全身管理や血液浄化の技術を学ぶ。他科との連携が緊密であり専門知識が必要な際はJUST TIMEでアドバイスを得ることができ、広い範囲にわたり深い知識を得ることが可能である。

  2. 研修目標

    1. 一般目標
      1. 診断にいたるプロセスを身につけるために、患者毎の問診の仕方、効率の良い身体所見の診察法、症例に応じた検査計画をたてる能力を習得する。
      2. 診断を確定し、治療方針を決定するために消化器診療に必須な以下の検査法を計画、見学、実施し、可能なものはその技術を修得する。
        血液検査一般、生化学検査、肝炎ウイルスマーカー、腫瘍マーカー、胸部・腹部単純レントゲン、内視鏡(上部、下部消化管)、腹部超音波、胸部・腹部CT、胸部・腹部MRI、腹部血管造影、生検組織検査
      3. 消化器内科に関係する治療である、食事療法 理学療法について計画し実践するために十分な能力を修得する。
      4. 内科的治療の主体である薬物療法について、実地の現場で応用実践出来るようになるための能力を修得する。
      5. 消化器内科で実施している手技を習得するために、助手として立ち会い、技術を研鑽する。
      6. 問題点を包括し、総合的に診療の方針を計画立案し、自己評価と考察を行うことが出来るようにするために、内科学会の書式での病歴要約の作成を学び、学会への症例報告、発表を行う。
      7. 専門外の領域の最新情報や医学のトピックスなどの知識の修得を持続する習慣を身につけるために、院内院外の研究会や学会などに参加、また、参加する方法を習得する。
      8. 院内でのコミュニケーションを図る能力を身につけるために、院内の講習会および研究会に積極的に参加し、メディカルスタッフとの交流をする習慣を身につける。
    2. 個別目標・具体的目標
      1. 診断を行い、治療選択し、治療の実践によって、病態の改善を行うためには、患者さまや医療スタッフとのコミュニケーションがとれて、診療を円滑に行うことができる必要がある。そのためには、相手に不快な印象を与えない身だしなみをし、正しい丁寧な言葉遣いを行い、患者さまの人格を尊重し、メディカルスタッフのそれぞれの業務を理解するなど、人間の尊厳を尊重する考え方を身につける。
      2. 臨床の現場は、おかれた状況、環境により、適切な診察を行わなければならない。対応する患者さまが常に一人の状況は、現実にはあり得ない。そのため、同時に複数名の診療が必要な場合も、常に最低限の診療を行えるような診療が出来る能力を身につける習慣を獲得する。
      3. 内科学診療の多くは正しく診断をすることに労力を費やされる。不必要な検査は、患者さまの苦痛となり医療費も無駄にすることになる。必要な検査が足りないことは、診断の遅れにつながり、場合によっては予後を大きく変えることになる。そのためには、消化器診療に関する疾患について十分理解できること、身体所見をとり、必要な検査を効率よく計画すること、検査所見の評価を行い、治療の計画をたてること、診療に関係する事項に対してのマネージメントできるようになること、が必要である。
      4. 診断の過程では、非侵襲的検査 簡易な検査を行った上で、診断の確定や治療方針の決定のために不十分の場合、侵襲的検査を計画する手順を身につけ、それぞれの検査の感度、特異度をふまえた結果の評価を行い、次に行うべき検査を実施するか、経過観察するかを判断する能力を身につける。
      5. 医師が行う侵襲的検査の適応、方法を学習し、指導医の下検査の実践が出来るように努力する。
      6. 治療の基本である、食事療法 運動療法を行うために、患者の能力、環境を踏まえた指導が出来るようにするための方法論を体得し、実践する。
      7. 薬剤の一般名、商品名を覚え、適応疾患、作用、副作用、相互作用、代謝経路、副作用、副作用出現時の対応方法、各種薬剤の特性、使用方法、疫学調査、大規模臨床試験の結果を学習、それぞれの患者にあったテーラーメイドの医療が行えるように実践での経験を積み指導医の下処方が出来るように修練する。
      8. 消化器内科で必要な手技:胃管挿入、イレウス管挿入、消化管出血に対する内視鏡的止血術、胆道ドレナージ術などについて、助手として立ち会い、技術を習得する。
      9. 消化器診療の中心的位置を占める消化器癌について、病態、治療の基礎を学ぶとともに、手術適応を理解する。また、癌終末期の病態を理解し、緩和ケアの基礎を習得する。
      10. 常に新しい知識、技術の獲得を努力するためには、学会、研究会、講習、セミナー等に出席し、また組織の一員として、その組織に必要とされる会議に出席し、常に学習する努力を怠らない習慣を身につけるとともに、組織の中で自分の役割を常に確認する習慣を身につけるようにする。
      11. 組織として病院の機能を発揮し役割をはたすには、メディカルスタッフとの連携がきわめて重要であることを認識することが重要であり、組織内でのスタッフとのミーティング、会議、研究会、講演に可能な限り出席するように努める。

    経験すべき病態、手技、手術について具体的な内容を以下に示す。
    各項目にあげた、A、Bは以下の内容を意味する。
    A: 必ず経験すべきもので、十分に理解、把握すべきもの
    B: 経験することが望まれ、概略の理解と把握が必要なもの

    • 症状、病態

    A:悪心・嘔吐、おくび・げっぷ、嚥下困難、むねやけ、腹痛、体重減少、体重増加、全身倦怠感、食欲(思)不振、便通異常、浮腫、不眠、腹部膨満、吐血、下血、下痢、便秘、鼓腸、黄疸、腹水、腹部腫瘤

    • 治療、手技

    A:基本的薬物治療、輸液、輸血、中心静脈栄養、経腸栄養、胃洗浄、胃ゾンデ挿入
    B:中心静脈穿刺 (×)、腹水穿刺(×)、経管栄養、浣腸(×)

    • 疾患

    A:Mallory-Weiss症候群、食道裂孔ヘルニア、急性胃炎、胃・十二指腸潰瘍、感染性腸疾患、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、クローン病)、イレウス、腹膜炎、胃上皮性腫瘍(良性腫瘍、癌)、大腸上皮性腫瘍(良性腫瘍、癌)、急性腹症、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝、原発性肝癌、転移性肝癌、胆石症、胆嚢炎、胆管炎、胆嚢癌、胆管癌、急性膵炎、慢性膵炎、膵膿胞、膵癌
    B:食道潰瘍、食道憩室、食道上皮性腫瘍(良性腫瘍、癌)、食道非上皮性腫瘍(粘膜下腫瘍、肉腫)、Barrett食道、アカラシア、食道・胃静脈瘤消化管ポリポーシス、消化管悪性リンパ腫、MALTリンパ腫、劇症肝炎、アルコール性肝障害、薬剤性肝障害、代謝性疾患に伴う肝障害、良性肝腫瘍

  3. 研修方略

    1. 研修体制

      担当指導医の下で、上記内容を研修する。

    2. 研修スケジュール
      午前 午後
      病棟回診 検査 症例カンファレンス
      外来研修 病棟回診
      検査 検査、病棟回診
      検査、外来研修 病棟回診
      病棟回診 検査 症例カンファレンス
      外来研修 症例検討会 合同カンファレンス
  4. 研修成果の評価

    当院研修プログラム評価法により、研修修了時に評価する。

    1. 評価方法
      1. 実地試験:受け持ち症例について、症例カンファレンスでプレゼンテーションする。その都度指導医/上級医全員より評価する。
        手技に関する実技は、その都度指導医より評価する。
      2. レポート:症状および症例に関するレポートを作成し、指導医より指導を受ける。症例のレポートは内科学会の規程の形式で記載する。
      3. 入院要約:受け持ちの入院要約を記載し、指導医の指導を受ける
    2. 評価の時期

      手技の実施による試験は、指導医が単独での実施が可能な技量かどうか適宜行い、実地の中で判断する。受け持ち症例のプレゼンテーションは、カンファレンスの中でその都度実施する。レポートによる評価は、その都度指導医より評価し、完成まで指導を受ける。症状によるレポートは経験した日に完成させ、その週の中で指導医より指導を受け、症例のレポートは、研修終了の2週前までに指導医の指導を受けるようにする。入院要約は、退院時までに完成させ指導医より指導を受ける。研修終了週には評価表による総括評価を行う。

初期臨床研修

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