入院診療の特徴

 心臓血管センターでは、2階CCU/ICUの5床及び3階病棟の45床で入院診療を行っております。毎日朝、夕に行われるカンファレンスでは、循環器内科医、心臓血管外科医、病棟看護師長が一同に介し、入院患者さまの問題点、治療方針について確認を行っています。

 また、施行された全ての心臓カテーテル検査(冠動脈造影検査等)は本カンファレンスにて確認され、治療方針の検討、決定がなされております。近年では内科医のみ、外科医のみの独善的な治療決定を行うべきではなく、内科医外科医を含めたハートチームで検討することが望ましいと言われています。当院ではハートチームとして、心臓血管センター全体で適切な治療方針を決定しているところが最大の特徴であります。循環器専門医はレジデントを除く全ての医師が有しており、専門性の高いディスカッションを経て検査や治療の方針を決定しております。

 心臓カテーテル検査、心臓カテーテル治療は日本心血管インターベンション治療学会専門医2名、認定医3名を中心に行っています。全ての治療において専門医もしくは認定医が担当しております。待機的な場合は原則としてカテーテル検査結果を内科外科で十分協議して適切な治療を選択しております。待機的検査治療のみならず、緊急の場合にも24時間365日、カテーテル検査、治療を行う体制を整えております。近年は患者さまの高齢化に伴い、バルーン拡張のしにくい高度石灰化病変も多数治療する必要がありますが、当院はロータブレーター、ダイアモンドバックの認定施設であり、これを使用することでより安全に石灰化した血管を治療することができます。また不必要なステント留置を減らすべく、冠動脈の粥腫を特殊なカテーテルを用いて切除するDCA(Directional Coronary Atherectomy)、エキシマレーザーなどの最新の治療にも積極的に取り組んでおります。このようにカテーテル検査治療が増加してきており、2016年11月に島津製作所製Biplaneのシネアンギオ装置Triniasを導入し、循環器専用のカテーテル検査室を増設しました。以前から使用していたシーメンス社製Biplaneのシネアンギオ装置も使用し、待機的検査治療の際中に搬送される救急疾患にも速やかに対応できる体制となっております。

 またカテーテル検査室責任者の加藤医師により国内外の若手医師を対象としたカテーテル治療の教育プログラムを定期的に開催しています。

 不整脈疾患に関しては、2022年10月より定期的な経皮的カテーテル心筋焼灼術、植込み型デバイス治療(ペースメーカー[リードレスペースメーカ―含む]移植術、心臓再同期療法、植込み型除細動器移植術)を開始しております。東大和地区では長らく本治療ができないことで患者さまにはご不便をおかけしておりましたが、今後は地域で治療を完結できるように努力してまいります。

 近年増加している下肢閉塞性動脈硬化症を中心とする、末梢血管疾患にも積極的に力をいれて取り組んでいます。吉田医師を中心に治療を行っており、遠方の医療機関からのご紹介も多く受け入れて、加療を行っています。導入施設はまだ多くない、最新のクロッサーカテーテルシステムも導入しており、複雑で治療の難しい血管治療も高い成功率で治療を行っております。また、カンファレンスで十分に協議し、患者さまごとに最も適した内科治療、外科治療、ときには内科外科のハイブリッド治療を行っています。また下肢の創部について、ケアが必要な場合は整形外科や形成外科の医師と協力して治療を行っています。

 心臓血管手術は心臓血管外科修練指導者の野地院長、心臓血管外科専門医の舘林副院長を中心に積極的に行っております。胸部及び腹部大動脈瘤に対するステントグラフト治療も積極的に行っており、実施医指導医である舘林副院長を中心に治療に取り組んでいます。必要な患者さまには外科的治療の選択も行っております。これらの検討についても内科医、外科医が一緒に参加するカンファレンスで協議をして決めております。

 また、退院後は患者さまの状態により、通院加療は近隣の地域医療機関の先生にお願いすることになります。病状が不安定な患者さまは当院での通院加療を経て、病状安定後にお願いしております。多くの遠隔期の検査を必要とする患者さまについては数カ月~1年に1度の定期チェックに訪れていただいております。

外来診療の特徴

 心臓血管センターでは、月曜日から土曜日まで毎日、東大和病院外来(紹介状持参の初診患者さま)および東大和病院附属セントラルクリニック外来(再診患者さまと紹介状のない初診患者さま)にて診療を行っています。当院では病状が安定した段階で近隣の医療機関の先生に日常診療をお願いするようにしております。多くの場合は月に1-2回の近隣の医療機関への通院とともに当院にも数カ月~1年に1度程度の定期的チェックをお願いしております。その後大きな検査が必要な患者さまや入院緊急治療が必要な患者さまは再度当院にて対応させていただいております。

 当院では入院での検査治療のみでなく、非侵襲的検査である運動負荷心電図、(経胸壁・経食道)心エコーやホルター心電図、CT検査、心臓MRIにも力を入れております。2014年10月より東大和病院附属セントラルクリニックには全国でもまだ導入施設の少ない最新型320列CTである東芝社製AquilionOneを導入しております。従来の冠動脈CTでは造影剤量、被ばく線量の高さが問題でしたが、本装置の導入により造影剤量、被ばく線量は大幅に低減され、鮮明な画像による診断が可能となっております。心エコーを中心とした超音波検査も東大和病院附属セントラルクリニックにはGE社製LOGIQ S8を2台、東大和病院には日立アロカメディカル社製Prosound α7を2台に加え、Philips社製Affiniti 70、及び最新のEPIQ 7Gを有して行っております。日本超音波学会認定超音波専門医1名、同超音波検査士6名を中心に、心臓のみならず末梢血管の非侵襲的検査にも力を入れて取り組んでおります。また導入施設の少ない、皮膚組織かん流圧(SPP)検査の機械や経皮酸素分圧測定装置であるラジオメーターも導入しており簡便に下肢虚血の診断が可能となっております。

 心筋梗塞や心不全の患者さまの病状安定後はリハビリテーションも重要です。適切なリハビリテーションにより心不全の再増悪を防ぐことができるとの報告もあります。当院は多摩地区では数少ない心臓大血管リハビリテーションの認定施設であり、必要な患者さまには医師の立ち合いの元、CPX(心肺運動負荷検査)を行い患者さまごとに適切な運動指導を行っております。日本リハビリテーション学会リハビリテーション指導士の石野医師を中心に熟練したリハビリテーションスタッフと共に個々の患者さまにあったリハビリテーションをご案内しています。

Aquilion ONE™
Affiniti 70 EPIQ7G
ラジオメーター CPX